スポーツカーのようなトイレに挑戦する会社「アサヒ衛陶」インタビュー|直腸性便秘 解消ステップ SULUTTO(スルット)の開発背景に迫る

便秘解消プロジェクト

直腸性便秘解消ステップ『SULUTTO(スルット)』開発背景に迫る

直腸性便秘解消ステップインタビュー

直腸性便秘解消ステップ『SULUTTO』を設置した便座に座る石橋孝広・アサヒ衛陶株式会社取締役(右)

 

今日は東証二部上場会社のアサヒ衛陶さんのSULUTTO『スルット』という商品と開発背景について、取締役の石橋孝広さんにインタビューさせていただきました。

 

その内容をどうぞ!

 

臨機応変なものづくりの姿勢から生まれた新しい便座のカタチ

 

――早速ですが、アサヒ衛陶さんとはどんな会社なのでしょうか?

 

石橋孝広・アサヒ衛陶株式会社取締役(以下 石橋) うちの会社の創業は約300年前です。大阪に住吉大社という神社がありまして、そこに仕える瓦焼きが始まりです。元々は寺社、仏閣の大きな鐘の半鐘を作っていたそうです。鋳込みで土の型に鉄を流し込んで固めて作っていました。

 

徳川吉宗の時代なので私らも定かではないのですが、そこから始まりまして、瓦は焼き物ですから、そのつながりで現在は衛生陶器を作っています。

 

実は、衛生陶器を作ってる会社というのが日本では4社しかないですよ。皆さんよくご存知の大手のT社さんとL社さん、この2つの会社が圧倒的な業界です。T社さんは世界ブランドとして有名ですが、生産量としては世界一1位ではありません。しかし日本の技術力は他の国を圧倒しています。

 

――一家に必ず1つはあるトイレですが、作っている会社はかなり少ないんですね。

 

石橋 住宅設備系の大手さん含めても、陶器の工場は、お持ちじゃないんですよ。トイレ以外でも洗面化粧台なども多くは陶器ボウルです。この部分の供給についても、当社はOEMというかたちで多くを担ってきたという実績があります。

 

ここ最近で言いますと、福祉施設用の洗面台なども提供しています。使い始めは通常の洗面台で、もし途中で車椅子になっても足元が奥まで入れるように可変できる洗面台など、ニーズに合わせた物作りも我々アサヒ衛陶は力を入れています。

 

――お客様像を見ながら臨機応変に物つくりができる会社なんですね。

 

石橋 そうですね。ですのでデザイナーさんだとか、設計さんとかおられるところで、特注仕様を頼まれる場合、大手では対応してもらえないということもあるため、そういう仕事が私どもの方に回ってきます。どちらかというと変わったものや、こだわったデザインなどをたくさんやってきました。

 

失敗してるのもいっぱいありますけどね。こういったお客様を見ながらアイデアを出しながらものづくりをしている中でこのSULUTTOやロダンという商品アイデアも出てきました。

 

直腸性便秘解消ステップスルット

『SULUTTO』開発に先駆けて作られたステップ一体型便座『ロダン』のプロダクトモデル

 

――このデザインすごいかっこいいですね。フェラーリみたい。

 

石橋 そうなんです!最初なので、思い切ってフェラーリを意識したトイレを作ってみました。

 

――なんか座ってみたくなります!

 

石橋 いいリアクションで嬉しいのですが、実はこのトイレ実現には至ってません。

 

――え、ではこのトイレはプロダクトモデルみたいなものですか。

 

石橋 はい。実はこの座面部の曲線が問題でして… その部分については後でお話しますね。

 

 

自然な『うんこ座り』を既存の洋式便座で実現する『SULUTTO』

石橋 このデザインになる話なのですが、大昔うんちをする時トイレなんかなかったはずです。

 

――穴を掘るかそのまま木陰にでも入って便をする、いわゆるフリーダムナチュラリースタイルですよね。(笑)

 

石橋 そうです。(笑)日本はそのままの流れで和式ですよね。では海外はどうなのかというと、海外だって昔は何も無い状況で野原にしていたと思います。

 

――確かに世界的に考えてもみなさん和式スタイルですね。もはや和式という言葉ではないですね。

 

石橋 そうなんですよ。もともと全世界、うんこ座りで用を足していたはずですし、それが本来の正しいうんち姿勢なんじゃないかと思ったわけです。

 

アサヒ衛陶スルット開発秘話

 

石橋 うんこ座りで用を足すメリットは、恥骨直腸筋(ちこつちょくちょうきん)にあります。

 

恥骨直腸筋(ちこつちょくちょうきん)は通常生活している中では閉まってる状態になっていて便が垂れ流さないようになっています。これを開いてあげないとスムーズには排便はできません。

 

恥骨直腸筋が緩みスムーズな排便に近づけるような姿勢というのが、今言った和式スタイルです。

 

直腸性便秘解消メカニズム

 

――なるほど。ちょっと膝が上がった状態の方が、おしりの筋肉を緩むんですね。

 

石橋 で、それに最も近い形を作り込もうというのが、このトイレのデザイン案です。

 

このロダンっていう仮名称も、ロダンの『考える人』からつけてるんですよ。ステップで足の位置を上げ、便座の奥がくぼんだ形状で膝が上がりやすくする曲線のデザインとなりました。

 

ところが、便座の座面の曲線がかなりむずかしいんです。陶器部分を一定の曲線にするのが大変なんです。

 

便秘解消スルットデザインラフ

 

――普通の便器は平面ですもんね。

 

石橋 実は陶器って焼き物なので、製品としては焼く前から焼きあがるまででいうと13%収縮します。なおかつ歪みが出るので、曲面のまったく同じものを作るのが非常に困難です。JISの規格でも寸法によっては10%まで許容を認められたりもしています。

 

ただ、他社含めて私どもは10%も寸法誤差が出ちゃうと製品にならなりませんが、JISでもそれぐらい認められてるほど寸法精度を出すのが難しいということなんですよ。

 

という中で、この曲線がある便器を作り、便座部分と嵌合させることが、なかなかハードルが高くって、一回試算したのですが開発費だけで1億5千万ぐらいかかりそう。何も無いところからいきなり一億円オーバーの研究開発というのは難しかったので、まずSULUTTOの形状で作ろうじゃないかということになりました。

 

便秘解消ステップポイント

『ロダン』のコンセプトを引き継いで生まれた「うんこ座り」を洋式便座で実現するステップ『SULUTTO』

 

 

きっかけはデザイナーの提案…医師の協力も得て製品化にこぎつける

――便秘に効果がある便器のアイデアが出てきた経緯はどんなことがあったのですか?

 

石橋 きっかけはいつも設計やデザインをお願いしている潟pルプラスの栗木さんから、便秘に効くトイレがあってもいいよねという提案があり形になりました。

 

株式会社パルプラス栗木達雄

 

商品自体に付加価値を付けたいという思いから話し合いをしていました。先ほどもお話ししましたが福祉系の受注もあるのでも、健康に着眼したトイレって面白いでしょ。

 

――たしかに70歳以上になると、男女問わず多くの人が便秘になるんですよ。60歳前までは女性の方が男性に比べて便秘が多いのですけどね。年齢を重ね、生活環境も変わり食事や生活習慣の変化、筋力の低下など総合的な原因で便秘になってしまいます。それをトイレのハード面から解消しようという試みはとても面白いですね。

 

石橋 トイレ業界で商品の特徴として多いのは、節水や汚れにくさ、掃除のしやすさという路線です。でもそれだけって本当にいいんやろかって思うんです。独自の着眼点でお客様を見ている商品があっても面白いんじゃないかっていうところですよね。

 

――いやー。いいですね。

 

石橋 そんな中でもテレビで有名な大竹先生にもアドバイスをいただけるようになりました。

 

おおたけ消化器内科クリニック大竹真一郎

 

石橋 実は、これも栗木さんに動いていただいたんですけど、実際に大竹先生の病院に行って商品についてアドバイスがもらえないか掛け合ったんです。その熱意が通じ、大竹先生に一緒にお手伝いするよとおっしゃっていただけて。大竹先生の見ている患者さん含めて実験して試したりすることもできるし、自身の知見のところでのアドバイスはしてもらえるという話になりました。

 

大竹先生は、以前ビートたけしの健康系のテレビに出演された際、便が出ない人は便器の前に踏み台を置く姿勢がいいという話をしていました。

 

――RODINのコンセプトと同じ考える人のポーズですね。

 

石橋 踏み台を置いて、そこに足を乗せて座ると便が出易くなるのですが、ただ一番理想的なのは和式スタイルなんです。踏み台だけでは足の角度はそこまでならないのである程度の高さと角度が必要です。

 

――なるほどですね。それでこのデザインなんですね。説明を読んだ ところデザイン含めて、便を出すのもフェラーリのように早く出るんですね。

 

石橋 そうですね(笑)このロダンの姿勢で排便をすると今までの排便までかかっていた時間が短縮されてるという実験結果があるんです。

 

――たしかに、あまり長い間便器でいきんでいるのは痔になり易くなるというリスクなどもあり、トイレに座ったらスムーズに排泄することはいいことなんですよね。便器に座ったらフェラーリのような速度で出すべきなんですよ。フェラーリという言葉があっているかどうかはあれですが(笑)

 

ということは便秘の方だけじゃなくて痔の方にも優しいトイレですね。>これからの高齢化社会に、痔と便秘に効果的なトイレというのは非常にいい!

 

排泄解消便器RODIN

 

石橋 SULUTTOの次のステップとしてやるのは便器の曲線はできなくても足の部分はこのプロダクトモデルと同じような便器を作ってみたいですね。

 

――最終到達点の曲線美のあるフェラーリのようなトイレRODIN。この完成は楽しみですね!

 

石橋 たどり着けるように私らも頑張ります。

 

アサヒ衛陶便秘解消プロジェクト

 

 

編集後記

今回取材させていただいたアサヒ衛陶さん、一言で言うとチャレンジングで物作りを楽しんでいるとってもいい会社でした。取締役の石橋さんも熱くて面白い方だったので話始めてすぐに盛り上がりました。座りたくなるデザインで機能面も優れているなんてRODINは本当にすごいですよね。

 

こういった物作りからお客様に喜んでもらおうという取り組みや苦労話を聞くと、とても応援したくなりますね。

 

SULUTTOを見ただけでは違いに気がつけませんでしたが、実際に使ってみると思ったよりも高さがあり、角度もとてもいいのでたしかに用を足しやすい感じがしました。今度は実際利用してみてフェラーリ速度を体感したいです。

 

ぜひ今後もアサヒ衛陶さんに頑張っていただきたいです^^

 

私も最近痔になってしまったので、ロダンのポーズでなるべく早く排泄したいです!